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こんなときだからこそ、編集部で「平和」について話してみた

こんなときだからこそ、編集部で「平和」について話してみた

こんにちは、DaiFUKU編集部の高尾です。

さて、今回は、「こんなときだからこそ、編集部で「平和」について話してみた」と題し、昨今の情勢や社会を踏まえて、自分の持っている気持ちやもやもや、こうだったらいいな、について話をしています。

<登場人物>
ありぱん:なんちゃって社会学徒。ミッションスクールで平和について学び、大学でも国際関係について学ぶなど、国際社会に関心を寄せてきた。今回の司会も務める。

小川:社会政策に関心を持ち大学でも学びを深めてきた、現エンジニア。中国語の学習をするため中国にて学んでいたことから、国際情勢にも関心が深い。

しょせ:大企業に勤務する傍ら、スタートアップにて法務経理などコーポレートに関わる。海外旅行に行ったことをきっかけに、海外の情勢に関心を持ち始める。

しもひ:普段はITスタートアップで働きつつ、世に溢れる課題をもっと考え抜きたい・解決したいと思いDaiFUKUに関わるライター。大学院では難民問題等に関する研究を行う。

「戦争」ってどんなイメージ?

ーーさて、それではどうぞよろしくお願いします。今回は、普段なら友人間などで話しづらいんじゃないかな、というテーマについて、あえて扱ってみようと思います。どうぞよろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

ーーまず最初に「戦争」について、ちょっとお話を聞いてみたいと思います。色々と複雑なことはありますが、正直どうでしょうか…?

しょせ「僕は、戦争に対して反対以外のスタンスはあり得るのだろうか?と思っています。前提として、市民の自由意志の結果での争いは紛争であり、戦争とは分けられるものだと思います。とすると、国上層部(既得権益層)の利益目的以外のための国対国の戦争なんて存在しえないし、ましてや、市民の自由判断を阻害するような情報操作を行うような国に正義は1ミリも存在しえないとも思っています。

もちろん、綺麗ごとで起きないことはないかもしれませんが、起きる前提で考える(起きることを許諾する)のではなく、戦争そのものに対して反対を唱えることが大事ではないかと思います」

ありぱん「そうだよねぇ。なんか、戦争慣れしているというか、起きる前提みたいな感じはあるね。しもひは国際関連の研究をしてきたと思うけど、どう見ている?」

しもひ「僕も反対です。が、現に発生し、存在するものとして受け入れています。発生(特に侵攻)を完全に防ぐ仕組みが存在しないので、人為ではあるけれど、情勢により発生する、理不尽な現象と捉えています」

小川「そうですね。僕も似たようなスタンスかなと思います。戦い争うことについては、暴力以外の争いについても同じ(受験戦争等)ですが、人間に感情があるかぎり無くならないとは思います。権力者→市民や親→子など上下関係があるなかで、下位の人間が否応なく争いの当事者になってしまう制度設計に問題があるのではないかと思います」

ありぱん「皆の意見、とてもよく分かる…戦争はそれぞれの正義があるので一概に善悪を決めることはできないとは、当然思います。それに、地政学的・経済的・政治的な複雑な事情が絡むので、一切なくすことは難しいのも事実だよなぁと。とはいえ、人類に『理性』が備わっている以上、なんとかそれぞれの『生』を尊重して生きていきたいとは思ってはいて…うーん、歯切れ悪いですね…でも、ない社会に向かっていかないといけないと思っているし、そうなっていると錯覚したり、無知だった自分もいます。だから、最近はすごい自分のスタンスとか、考え方とか、無知さに対して反省しています」

あなたにとっての「平和」って?

ーー次に、ちょっと対局の概念かもしれないんですが、「平和」についても話を聞いてみたいですね。平和って聞くと、どんな印象を持ちますか?

しもひ「誠実に希求すべきもの、です」

ありぱん「シンプル!しょせくんはどうかな?」

しょせ「平和、というと分かりにくいかもしれないけど、僕自身は、市民がそれぞれの自由意志や自由な判断のもとで暮らしていける環境を整えることが一番大事だと思います」

ありぱん「最近、独裁国家と民主国家の国民の割合のデータを見たんだけど、実に7割近くの地球の人口が独裁国家に住んでいる、というデータを見て、衝撃を受けたのを思い出したなぁ。自然な欲求や自由な判断が阻害されるのは、私たちからすると違和感があるよね。私たちが平和ボケしてるだけかもしれないけど…」

小川「なんかいまって、『平和』という言葉がネガティブな意味で、例えば今みたいな感じで、平和ボケしてるとか、麻痺してるとか言われるじゃないですか。でも、今の日本では逆に、『平和ボケ』って言葉を良い意味として普及させるのはどうだろうか?と思ったりしたんだけど、どうでしょうか。僕たちの近隣諸国(中国、韓国、台湾、ロシア等)は名目上、あるいは実態として、今も戦争・紛争を続けていますよね。でも、日本はそうじゃない。だから、スタンスとしては平和を願うんじゃなくて、普及させる立場になれないのかな、と思ったりします。勿論、防衛意識を持たないことではないのですが…」

しもひ「『平和ボケ』と言われる状態から、健全に抜け出す機会として、いまの事実や世界と向き合うことはとても大事だと思っています。ゼレンスキー大統領の演説が日本でも開かれましたが、『資源を輸入している国にとって、世界市場の不安定化は大きな問題であり、環境面と食料面の危機はかつてないほど深刻。そして最も大切なのは、地球上のすべての侵略者たちに、戦争を始めたり世界を破壊したりすれば大きな罰を受けることになると知らしめ、思いとどまらせること』と伝えていたことは、日本人が見えていない景色を見せてくれる、重要な示唆だなと感じましたね」

ありぱん「平和の取り扱いかぁ…SNS上でちょこちょこ見かけたのでちょっと嫌だなぁと思ったのは、素朴に『平和』を願う人を穿った見方で揶揄したり、否定する風向き、みたいなやつかなぁ。これまでの人類の歴史、特に2回の世界大戦や冷戦を経て『いかに戦争を起こさずに調和していくか』が模索されてきたと思っているし、私は素朴な感情として『争いは嫌だ』という感情そのものはとても大事だと思っているので…」

これまで印象的だったエピソード

ーーここまでちょっと抽象的な話が続いていたので、これまでに印象的だった、世界の紛争・戦争・平和にまつわるエピソードについても聞いてみたいです。

しょせ「僕はやっぱり今回のロシアのウクライナ侵攻のことになるのだけど、報道を通じて垣間見えるウクライナの家族のシーンなどは、地続きの場所で起きていることとは思えなくて。初めてニュース番組で泣いてしまいました」

ありぱん「もちろんフェイクニュースなんかは防がないといけないけど、そういうリアルな様子については、ショッキングなものも含めて、直視しないといけないなと感じるよね」

小川「僕は、ちょっと昔の話になりますが、第二次世界大戦前のミュンヘン会談が印象的ですね。暴力はなくても、小国を犠牲にして平和って言えるのか、現代では許されるのか?と考えてもやもやしたことが、印象に残っています」

しもひ「僕も第二次世界大戦の話になるんですが、広島市・長崎市の原爆体験の継承事業です。年月が経つにつれて戦争が風化されることは疑いようもないとしても、それをどこまで『実体験として』引き継ぐことができるかが問われる時代になってきていると感じますね…そして、今後の中東やウクライナでもその時を迎えることになりますね…」

ありぱん「みんなすごく考えていてえらいなぁ。私は…だいぶ昔の話なんだけど、実家にたまたま置いてあった『地雷ではなく花をください』という絵本が特に印象的で。サニーちゃん、という登場人物…いや、うさぎかな?がいるんですが、ビジュアルは可愛いのに、地雷で足が吹き飛ぶ様子などが克明に描かれていて、結構グロテスクで。幼いながらに、自分のいる場所と地続きの世界でこういうことが起きていることがショックで、どんな理屈があろうとも、こんな不条理なことがまかり通ってはならないと強く感じたことを今も覚えていますね」

じゃあ、私たちに何が出来る?

ーーここまで皆さんのお話を聞いてみて、それぞれがこういったテーマに対して思うところがあるんだなと思ったのですが、これまでに、あるいは今、国際社会や平和に対してなにかアクションを行ったことがあったりするんでしょうか。

しょせ「僕は今回、ユニセフへの寄付をしました。銃や爆弾ではなく、現地の方のために使ってほしいと思ったので」

小川「僕も出来る範囲で、ということで、ZOZOのウクライナ人道支援チャリティーTシャツを買ってみました」

ありぱん「寄付や購入は明確な意思だもんね。すごい!」

しもひ「僕も募金や、あとは国際法の研究です」

ありぱん「しもひ、さすがだね…! 最近はとんと離れてしまったけど、私は高校生のとき、学校の総合学習で認定NPO法人『難民を助ける会』に関わっていました。それ以降、大学時代にも「国際社会に置ける貧富の差」を解決すべきだと思っていたので、貧困問題解決に寄与する教育系学生団体、貧困エリアの開発援助とかにも関わっていたな。紆余曲折あり、国際協力の現場からは足を洗っているのだけど、いまこのご時世になり、また自分になにかできることはないか、思いを巡らせているところです。今回の場合は、自分に一番できることは、もちろん信頼できると思ったところに寄付をするのはあるけど、それ以上に、軍事に明るい専門家の発信する情報や、一次情報に近いと思われるものをSNS上でシェアすることかなと思っています。海外の情報とかも取りに行かないと事実が分からないと感じる昨今です」

いま、何を想う?

ーーそろそろ終わりの時間が近づいてきましたが、ここまでにお話してきた、昨今の国際情勢や社会に対して、課題意識を持っていることがあれば教えてください。

しょせ「自由な社会が脅かされそうな状況のなか、いろいろな企業がスタンスを示していると思いますが、日本企業として動きのある会社は少なく、無言を貫き、通常通りの業務をしている印象を持ちます。法人としても道徳的で大人な対応ができる企業が増えてほしいと思いますね」

ありぱん「なるほど。あんまり有事に対して耐性がないからなのか、明確なスタンスを示す雰囲気はあんまりないよね。色々難しいのかなぁとは思うけど、確かに…」

小川「自分の感覚をしてですが、このような政治的な話をしづらい冷笑主義の傾向が年々強くなってることは怖いなと感じています」

ありぱん「私も、さっき言ったみたいな揶揄する声も感じるし、あとは素朴に『平和』の声を上げる人が思っていたよりも肌感では少ないことと、『日本も侵略されるのでは』といった、極端な悲観論を唱える人がいることに、少し怖さを感じますね」

しもひ「紛争と日常の距離を、遠く感じている人の多さです。戦争は生活にダイレクトに影響するものだけど、「起きちゃいましたねぇ」という話しかできない/しにくい状況があると感じています」

ありぱん「うんうん、勿論、日本は島国だから比較的侵略された経験が少なかったり、平和ボケしているというのもあるのかもしれないけど。本当に『学ぶこと』が大事だと痛感しています。自分も含め、情報リテラシーを高めてフェイクニュースに敏感になりつつ、少しでも今起きていることの背景にある文化的背景・歴史的背景…地政学を学べるようなきっかけを作っていきたいです。今回、こういう扱いにくいテーマをあえて素人で集まって話して記事にしたのも、少しでも考えるきっかけになればいいな、という想いからだったりもします」

平和に1歩でも近づくために

ーー最後に、とっても難しい質問なのですが…どうしたら少しでも平和に近づくと思いますか?

しょせ「自分の周りの人に優しさを持つこと。これがすべての始まりだと思います」

ありぱん「うんうん、まずは身近から、すごい素敵だね」

小川「僕は、冷戦期の核兵器による相互確証破壊ではなく、現代に合わせた抑止力の方法を考えることだと思います。今回はまさに情報戦の様相を垣間見ていますが、ロシアへの経済制裁を見て、企業やSNSの声をうまく使って、抑止できないものかなと思います」

ありぱん「最近だとLikewarなどの言葉があったりして、情報は大事だなと思うよね。
私は…どうすればいいんだろう、でも、現実的でないことを承知で、国という在り方を、人類全体で見直さないといけないのではないかと思ったりしています。『国』という仕組みを維持するために、これだけたくさんの人が亡くなってしまうのは何故だろう、と、思うことがあります。勿論脈々と受け継がれてきた言語・文化を守ることは大事だとは思うのですが、一国の為政者の判断で人の生死が決まる状況が現実として横たわっていて、これまで以上に超国家的に調停する制度を創ることを検討しないといけないと感じています。勿論、人類の歴史から考えると、そんなの夢物語な気もするし、全員が幸せに、平和になる方法を考えれば考えるほど途方も無いのだけど。少しでも多くの人と、こういうことを考えること…なのかな、と思います」

ーーありがとうございました。こうやって話を聞いてみるだけでも、いろいろなモノの見方、感じ方があることが分かりました。ひとりひとりがこういうトピックについて考えるきっかけになることを願います。

この記事を書いた人

DaiFUKU編集部

「社会に、ちょっといいことを。」そして「社会課題を、もっとポップに。」オウンドメディア「あんこぎっしりWebマガジン・DaiFUKU」編集部です。