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興味本位で、タイムリープした。

興味本位で、タイムリープした。

今までの人生に特に不満もないのに、タイムリープした。ネットでみたやり方試したら出来てしまった。
過去の自分の行動なんて事細かに覚えてないけど、僕自身が少しずつ変わっていくのが分かる。面白半分、怖さ半分。

5日目

気付いたら、得たことより失ったことにばかり目がいくようになっていた。

元の現実を手に入れるために何度かやり直すけど、段々飽きてきた。なんせ、最初の世界線の会話とか、もうほとんど覚えてないし。

そうなってくると細かい違いが気にならなくなる。
元々の現実がどんなだったのかも忘れてしまったようだ。

元の世界線では知り合いだった人に声をかけたら、この世界では知り合いじゃなかったり。
酔っ払って家に帰ったら、前の世界線の家だったり。警察呼ばれたり、病院運ばれたり。記憶はなくても本能が覚えていることによって行動が出鱈目だ。

でも、そういう生活にも、少しずつ慣れてきた。

自分の記憶も信用しない。

お金はとりあえず手に入れた。豪快に使って友達がいなくなった。もう一回やりなおし。
アルバイトニートのフリして普通の生活。
お金に困ることはない程度に貯めておいた。

でも使う機会なんてほとんどなくなっていった。

11日目

だんだん気づく、現実は解釈だと。

目の前がどんな状況でも、何が起きても心が驚くこともなくなっていく。そういうこともあるよなーってくらい。初めて起こったことでも、やり直したいとは思わない。現実での出来事に興味がなくなってくる。自分がコントロールしようとすれば、その10倍、意図しない変化が訪れる。もはや自分をコントロールできてるのかすら分からない。

行動は変えられるけど結果はコントロールできないもんだなって、気付いてきた。

15日目

思い出した。
映画みたいな人生を送りたいって、思ってた。だからタイムリープなんてしちゃったんだ。

今じゃ自分の人生も他人が作った映画のような感覚。行動の先の結果は誰かに用意されたような感覚だった。

自分とは何か。
自分を生きるとは何か。
行動をコントロールして行き着くところは何処なのか。

何故生きるのかを考える。
人は何故生きるのか。

生きることは感じること。
変化を感じられるから生きていける。

自分が大切にするべきだったのは、自分の感情だった。

行動と結果ばかりを気にしてた。
重要なのはその行動や、その結果に対して自分がどう思えるかだった。

勉強嫌いだったな。早起きも嫌だったし、嫌いなやつも多かった。それでいて、人に嫌われるのが怖かった。本当はもっと好かれたかった。楽しい日もあれば、辛い日もあったな。

受験とか、就活とか、うまくはやってたけど楽しくはなかった。優越感だけがあったんだろうな。あとは安心していたのかも。

仕事も楽しかった。出来ないこともあったけど。達成ってなんであんなに嬉しかったんだっけ。小さな世界にいたのかな。視野が広がったと言えば聞こえがいいが、今の世界は最悪だ。

どんな結果に対しても、何も思わないと、どんな結果も求められない。

どんな行動もできなくなる。
動けなくなる。
生きられなくなる。
感じられるから生きられる。

だから他人に感動を与えることを生きる意味にした。

感情がないのは全てが分かるから。どうしたら人が感動するかなど簡単なこと。

そうしたら生きる人が増える。
生きることはきっといいことだから。

20日目

価値を作りたい。

値段をつけた。需要と供給を無視して値段をつける。
需要と供給に合った値付けをすることは誰にでもできるけど、生産者だけがそれを壊すことを許されている。

僕は同じものは作れない。すべて適当な値段でいい。それに見合ったと誰がどう判断するかなんて興味もないし、お金稼ぎにも興味がない。近づく人は遠ざける。

ただただ、感動することが分かってるものに適当な値段をつけて、売る。

この記事を書いた人

茶色

茶色

都内の脇にひっそりと佇む人。感動や発見を見つけることに日々を費やしながら、哲学をしている。