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父への最初で最後の贈り物

父への最初で最後の贈り物

 私は両親に贈り物をする習慣がありませんでした。若い頃は生活が厳しく、経済的に余裕が出来てからも両親から「お前たちが元気なら何もいらん。そのぶん子や孫にしてやってくれ」と言われ、それを実行してきました。

 2年前、突然父が倒れたときのこと。妻の勧めで買った紺色のセーターを病院に持って行くと、ことのほか喜んでくれました。これまで贈り物をしてこなかった鈍感さを恥じました。

約半年後、父は93歳で亡くなりました。危篤の連絡を受け、病院に駆け付けた時には既に天国に旅立っていました。それでも父が、私が贈った紺色のセーターを着てくれていたのがせめてもの救いでした。

 昨年の父の一周忌。母にピンク色のカーディガンを贈ると、とても喜んでくれました。これからは毎年、母に贈り物をして、長生きしてもらおうと思っています。

この記事を書いた人

織田 はじめ