誕生日プレゼントほど、選んでいて楽しく、そして選んでくれて嬉しいものはない。そんな誕生日プレゼントを、8月生まれの私は2月にもらった。

大学生のころ、親しくしていた先輩がいた。彼女は1歳年上で、とてもお酒が好きな人だった。
私が2年生の時から話す機会が増えて、学生時代の後半は、思えばだいたい月に1回くらい会っていた。

時々カフェに行ったりしつつ、やっぱりよく行くのはお酒が飲める場所。
二人とも好きだったからと日本酒飲み放題に行ってみたり、ウィスキーを嗜んでみたり、先輩がビールを美味しそうに飲むのを眺めてみたり。

本当に、よくしてもらっていた。

社会人になってからは、私が大学院に行って時間軸がずれたこともあって、先輩とは少し疎遠になった。

久々に会う機会があったのは、1月。確か、先輩の誕生日の数日前。
考えた挙句、お酒が好きだからとボンボンのチョコレートを贈った。

翌月も会う約束をして、2月。

お茶をしている最中。

「誕生日プレゼント！お返し！」と言われて、デメルのチョコレートをもらった。
「えっ、ありがとうございます……？でも先輩、私の誕生日は8月ですよ」
「え！8月だっけ！？何日？」
「末ごろですね、30日です」
「えー……じゃあ、バレンタインだから、ってことにしておいて！」

私が猫好きだから、というのでデメルを贈ってもらえるのは嬉しいなと思いつつ、なんで半年もズレて誕生日を覚えていたんだろうって、今でもたまに思い返す。

半年ズレてもらった、そんな誕生日プレゼント。