ソーシャルグッドと私のあわいに
ほそみ
2022/07/17
日差しの下にいるだけで汗が噴き出すような夏のある日、中学校の前を流れる川にたまったゴミを一人で黙々と網ですくい上げるおじさんがいた。「部活帰りで疲れているからな」「同級生に見られてしまうのでは」と逡巡しながらもなんとか声をかけ、一緒に川のゴミを集める。これが私の初めてのボランティア体験となった。
大学では、国際協力を行う団体に学生スタッフとして所属した。高校生の頃から関心があり、将来はその道で働きたいと考えていた国際協力の活動に、大学生活の多くを捧げた。卒業後に進学した大学院でも、研究テーマにしていた国際課題の解決に取り組む別の団体でインターン/フェローを行った。
そして大学院卒業後は、地域のボランティアさんと協力しながら地域づくりを進める福祉の組織で7年もの間働いた。
振り返ると「身近にソーシャルグッドのある時間」を長く過ごしてきた。数年前に、ボランティアとも国際協力とも福祉とも関係のない一般企業に転職。途切れたソーシャルグッドとの関わりを意識せずに過ごしてきた。しかし今年に入り、私は再び新しいボランティア活動を始めている。
この連載では、ソーシャルグッドとの距離感も関わりかたもさまざまだった私が、ソーシャルグッドについてこれまで感じてきたことや思い至ったこと、いま頭に浮かんでいる問いを読者の皆さんと共有して、一緒に考えていく場にしていきたいと思う。