Category

はじめての海外旅行

はじめての海外旅行

初めて海外旅行に行った。


もともと出不精で、一人ならどこにも行きたくない。
一日に一度家の庭先を散歩する程度で、「ああ今日もいい天気だな」と感じれたらそれでいい。

でも私は当時の彼女(現在の妻)に熱烈に海外旅行に誘われた。
私は英語とは無縁でうまくは喋れないけど、彼女は留学もしていたし、ある程度会話ができる。

「まあそれなら行くか」と思い、ヨーロッパに初めて行くことになった。

ヨーロッパの最西端の国に行き、大陸最西端の岬にもいった。
そこではアジア人すら少なく、黒髪なのは私たちだけだった。

少し下町に入り、街中をぶらぶらと歩いたりもした。
街並みも石畳できれいで、見るもの全てが新鮮だった。

歩いている最中、トイレを見つけて彼女が一人でかけていった。
私は一人になり、今いる場所やその土地の空気を噛みしめながら周りを見るともなく見ていた。

すると、ちょっと癖のありそうなおじさんと目があった。
おじさんはこちらに来て、英語でなにかをまくし立てた。
言葉は分からないけど、差別を受けていることがひしひしと伝わってきた。
多分、「こんなところになんでアジア人がいるんだ。どっかいけ」的なことをいっていたと思う。

私は英語がしゃべれない。

だからその時手に持っていたアイスのおいしさを日本語でまくし立てた。
「とても冷たくておいしい!君もたべたいの?僕のだからあげないよ〜!」

すると、おじさんは激昂した。
どうやら違うことを話しているのは伝わるらしい。

より強い口調でなにかを言っている。
私もますますアイスの味を説明していく―

平行線のままどうしようかなと思っているところに、
通りすがりの若いお兄さんがおじさんに向かって英語で
「ここはパブリック(公共の場)だ!差別をするな!」
と喧嘩?の仲裁に入ってくれた。

おじさんは一喝されて黙ってどこかにいき、お兄さんは去り際に私に向かって
「大丈夫だよ。ここにいていいから。安心して」というようなことを言っていった。

かっこいい。

特に大事になることもなく、ただの旅行中の笑い話にしかならないような話だけど、
日本でこんな状況をみたら、自分なら仲裁に入れるのだろうかと思った。

ちょっと癖のありそうなおじさんに絡まれる外国人。
状況も分からないし、そっとしておくほうがいいのだろうと思って私なら通り過ぎたのではないだろうか。
もちろん海外の方全員が仲裁に入ってくれるわけではない。
私とおじさんの喧嘩を見て見ぬふりをして通りすぎていった人も沢山いたの確かだ。

ただ、その名前も分からないお兄さんのように少しの勇気を持てるような人に私もなれればいいなと感じた。

この記事を書いた人

shoseisakagami